生まれてずっと育った場所があってさ、
まぁ田舎のテンプレと言うか、
山川海のぼくの夏休みみたいなね。
昔話や土地神様みたいな話ってのも特にない所でさ、
あるとすれば、
どこのどこのお坊さんがここを本山にお寺開いて~、
まぁ古い寺がある所はどこもそんなもんだろう。
その山ってのが先祖代々うちの持ち物なんだが、
うちが開祖の子孫…てわけでもなく、
まぁ持ってるとは言え全体ってわけでもないしね。
山の中にある御堂はお寺さんのものだし、
春の山開きの日に参拝はするくらいだ。
よくある○○様の怒りが、なんて話もないし、
祭りもするが慣習であって信仰ではない。
変な言い方だが今どきの田舎。
自分自身も田舎のテンプレ、
小中高と育ち大学進学都会に就職。
盆正月は実家に帰省と、
周りの幼馴染もそんなもん。
で、まぁ3年ほど地元を離れて働いていたんだけど、
仕事のトラブルが続いて体調を崩してダウン。
自分の所為ではないトラブルだったけど、
辞めてしばらく実家で静養することに。
実家と言っても
両親は仕事関係で2年前から隣の市、
祖父母が畑しながらたまに行き来してる感じでね。
まぁみかん畑やら触りながらのんびりするかーと
祖父母の家にすることにした。
部屋は広いし生まれた時からそこにいるんだ、
仕事してる人を毎日見るのもなんか辛いしね。
そこはまぁ田舎なもんで、
帰ってきたと話になる。
幼馴染も就職したってそう遠くない所に
一人暮らしとか結婚とかいるわけで、
ちょこちょこはここに帰ってくるもんで、
久しぶりに会って飲もうぜなんて話も出てくる。
正直あんまり気乗りはしないけども、
海を見ながら縁側で、
さしつさされつ虫の声ってのもいいかなと、
幼馴染のNくんと二人で飲むことに。
他愛のない話や仕事の愚痴なんか聞くわけさ。
どこどこの○○ちゃんが結婚した、とか
お前中学の時○○先輩好きだったんじゃろ、とかさ。
で、田舎の山ってのは街灯なんてなくてさ、
あんまり遅いと猪なんかもおるからね。
まさに行きはよいよい~ってやつで、
周りの家が明かりついてるうちに帰らないと色々と危ない。
Nくんの家は麓、
うちの実家は中腹なもんで昼間は10分も歩けばいいが、
夜はそうもいかない。
Nくんも今日は泊まって行けばえぇってんで、
遅くまで飲むことにしたんよ。
「ちぃと煙草でも吸いに歩こうや」
「えぇよ、酔いもさましたいし波止場でも行く?」
「えぇね、こまい頃あっこでよー釣りやら泳いだりしょーたよね」
みたいな話しながら海までは目の前、
1分も歩けば着くし街灯もある。
えっちらおっちら歩きながら、
彼女欲しいなぁやら、
Nくんあの子とはよ結婚しちゃりーやとか、
ぐだぐだしながらふと、
じいちゃんばぁちゃんもう寝とるかなって家を見た。
光ってる、山が。
御堂のあたりでもない。
実家でもない。
あそこは誰も住んでない。
なにもない。
幼い頃から見てきた木しかない場所。
登山者の明かりでもない。
そんな小さな光じゃない。
火の光でもない。
今まで見たことがない。
「Nくん…なんか光っとらん?
ほら、あっこらへん、うちの家の上の方さ…」
「なんなん。
いやいや、何言いよるんよ。
山は光るじゃん」
これは少し前の話で、
色々調べたところ見る人が見れば場所バレしちゃうから
詳しく書かないけど、
光る山を鎮めるために○○上人がお寺を建てた、
と郷土史にありました。
なんで光るのか、
何が光るのかはわかりません。
真夜中ってのと、
実家からは見えない位置だって事。
他の人に聞いたところ、
「あぁ、たまにね」
程度で逆に話題に出ない事。
知らなかった自分にとっては怖い瞬間でした。
っていうか鎮めたんじゃねーのかよって言う…
【意味怖】意味がわかると怖い話の最新記事
コメント
コメント一覧 (10)
さて、いつも通りオカルト目線で考察したいところだが、山が光る発光現象ってのはたしか科学的に説明がついてたような…(詳細はド忘れした、すまぬ(><)
もし山が光る原因が自然現象なら、寺を建てたって治まるわけがないんだから、上人を責めないでやってよ投稿者さん(笑)
それよりも、不可思議な現象を当たり前のこととして受け入れられる、田舎の友人や知人達の心の清らかさが個人的には気にいった!
投稿主も変な理屈とか気にせずに、友人達のように全てをあるがまま受け入れられるピュアな心を、いつか持てるといいな!(^^)d
沈めなかったら
昼間より夜の方が明るかったりして
それはそれで観光名所になりそう
私もいっちゃう