幼稚園からの付き合いの幼馴染の友達が二人いて、
同い年で家も近所だからよく3人で遊んでた。

B子は私と同じ一般家庭だけど、
A子は神主の娘。

3人で遊んでいると
よく近所の人がやってきてA子が連れていかれた。

しばらくすると戻ってきて、

「どうしたの?」

って聞くと返事はたいてい

「なんでもなかった」

だからしばらくすると当たり前になって
何も聞かなくなっていった。

大きくなるにつれきづいたんだけど、
近所の人は何か変なことがあると
A子を呼んでお祓いをしてもらっていたらしい。

A子と一緒にいることで
私たちに何か怖いことや変なことがあるわけでもないし、
むしろA子と友達だということで
近所の大人がみんな優しくなって
お菓子をくれたりしたので得をするぐらいだった。

中学生の頃、
3人で登校していたんだけど
B子の様子がおかしかった。

とても疲れているように見えたので聞いてみたら、
最近金縛りにあうようになってほとんど眠れていないらしい。

それでふと思いついて
A子に何とかならないか聞いてみた。

そしたら

「うーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーん」

って唸りだして、
眉間にしわを寄せて悩み始めてしまった。

A子はいつでも即断即決で、
一緒に買い物に行ってもほとんど迷わない人なので、
私とB子はかなりビビった。

「なにか悪いものでもついてるのかな」

「え、どうしよう」

そんなことを言ってたら、

「悪い?悪い!悪くない?悪くない!
・・・・・悪くはないかなぁ」

って言って、また

「うーん」

って悩みだしちゃったので、

「悪くないなら大丈夫だね」

「うん!A子ちゃんもういいよ」

そんな感じでその時は切り上げた。

それからB子は病弱になっていった。

学校で倒れることはしょっちゅうで病欠も増えた。

高校も3人一緒だったけど、
ずっと青白い顔で出席日数も毎年ぎりぎり。

A子と二人でサポートしながら
なんとか卒業できるところまで目処をつけた。

そしたらB子が卒業したら
東京に行くって言いだした。

A子も私も地元に残るし、
B子は卒業したらゆっくり病気を治すことに専念して、
良くなったら就職なりお見合いなりすればいいじゃないかと思ってたので、
B子の両親も含めてみんな反対。

だけど

「行けないなら死んだほうがまし」

って言いだして、
結局東京の専門学校に進学した。

心配してまめに連絡してたんだけど、
電話越しではすごく調子が良さそうだった。

しばらくしてゴールデンウィークに帰省した時に、

「結婚することになった」

って言い出した。

どうやらあっちで運命の出会いがあったらしい。

その人と出会った瞬間、

「この人だ」

って思ったらしい。

それからというもの体も心も健康そのもので、
毎日充実して世界が輝いて見えると言う。

お互い卒業まで待てないので
すぐに結婚するらしい。

B子がもしかしたら騙されてるんじゃないかと心配をしたけど、
そんなものは不要で本当に年末に東京で式を挙げた。

私もA子と共に出席したけど
とても良い式だった。

出席者みんながニコニコして
二人の門出を祝福していた。

B子が時々旦那さんと目を合わすんだけど、
そうなるともう二人の世界に行っちゃったって感じで。

私はB子が苦しんでる姿をずっと見てきたから、
B子のそんな幸せそうな姿をみると感慨もひとしおだった。

B子はこの日のために生まれて来たんだなって思った。

帰りの新幹線の中で、
大宮を過ぎたあたりかな、
A子が深い溜息をついて言った。

「やーーーーと言える」

驚く私を尻目にいろいろ説明してくれた。

B子と旦那さんは
前世で添い遂げて今世でも結ばれる運命だったこと。

だが旦那さんが嫉妬深い人で、
B子が別の人と関係を持つのが嫌で
ずっと取り憑いていたこと。

だからB子は年頃を迎えたころから
調子が悪くなったこと。

払うこともできたんだけど、
B子にとってはそれは運命の人との繋がりであり、
それを払うとB子にとって良いこととか悪いことか分からないから、
A子にはどうしようもできなかったこと。

それを聞いて私は腹が立った。

「自分で穴を掘って、そこに相手を突き落として、
何食わぬ顔をして手を差し伸べて、
そんなのを運命って言うなんて性格悪すぎない??」

そしたらA子がシレっと言った。

「故意にしろ、そうでないにしろ、
意識的にしろ、無意識にしろ、
人間がやったにしろ、神様がやったにしろ、
運命ってそういうものだよ?」

だから私は運命を二度と信じない。

【意味怖】意味がわかると怖い話の最新記事