これはある高校生の話なんだけどさ、
その生徒は野球部だったんだ。

先輩も引退して、
まあマターリとした雰囲気で練習に励んでいたそうだ。

ある日、その生徒はバックネットの向こうから
練習を見ているショートカットの女の子に気がついた。

夏休み中、彼は何度もその娘を見かけ、
時々目が会うと彼女は笑い返してくれた。

彼が恋をするのに時間はかからなかった。

彼は声をかけようとしたが、
ある日をさかいにその娘はいなくなってしまった。

彼は相談のつもりで引退した先輩にそのことを話すと、先輩は、

「おい、もしかしてその娘ショートカットで痩せ型か?」

「はい、そうですけど」

「・・・そうか、お前見たのか」

先輩の話を聞くと、
彼はけして叶わぬ恋だと悟った。

そのショートカットの娘は、
昔交通事故で死んでしまったマネージャーの霊で、
何年か一度、夏になると現れるらしい。

誰よりも部員を気遣ってくれたやさしい女の子だったとのこと。

彼は自分が好きになってしまった娘が
幽霊だということでかなり複雑な気分になった。

そして最後に先輩は言った。

「皮肉なもんだな。俺の2こ上の先輩も惚れてたんだよ」

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