あれは俺がまだ中1の時の話。

冬の期末試験の英語の時間の時、
英語なんて分かる筈もない俺だったが、
まだ授業、テストサボる程グレてもいなかった。

だからテストが始まると直ぐに名前だけ書いて
机に突っ伏して寝ていた。

しばらくすると、
耳元に風を感じてガバッと顔を上げた。

だが誰も居ない。

前にはテストを受けている同級生と、
手を挙げている腕が見えているだけだった。
(俺の中学では消しゴムとか落としたら手を挙げることになってた)

気のせいかと思い
また顔を突っ伏して俺だったが、
なんだか違和感があり寝れなかった。

さっきの光景を思い出してみる。

みんなテストに勤しんでいて
おかしいところは一つもない

…嫌、おかしい。

挙がっていた手は素手だった…

季節は冬、
ストーブしかない教室は凄く寒い。

ワイシャツに、
ましてや腕まくりしているやつなんて居る筈がない。

それに気付いた俺は恐る恐る顔を上げた。

良かった手は無い。

変な夢でも見たんだろと思い
また寝ようと思ったら、
監督をしていた上田先生と目が合った。

上田先生はこっちに向かって歩いてくる。

そして俺の前まで来て言った。

「見た?」

俺は頷いた。

後日、俺の学年全体で

「俺君英語のテストでカンニング」

という噂が流れたのは言うまでもない。

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