昔の友人の話を。

中学時代にそいつ(仮にKとするよ)含む
友人数名で遊びに行った。

背伸びしてちょっと大きな駅まで行ったんだが、
何せ田舎者のガキ。

見るものすべてが珍しかった。

そのうちの一つが、道端の占い師。

テレビでしか見たことないその存在が気になって、
みんなで占ってもらおうという事になったんだ。

んで当時、
そのKには好きな女の子(仮にAとする)がいた。

仲間内では周知の事実だったため、
Kの恋路を見て頂くことになった。

「僕の恋の行く末を占って下さい!」

「はい、わかりました」

占い師はしばし目を閉じ
2分ほど経過した。

それから目を開いてKを見つめ
困惑の表情を浮かべた後、
なぜか俺を見た。

俺はバツが悪くなって目をそらした。

「占いの結果ですが、お連れの方が多いですね。
あなただけにわかる形で伝えた方がよいかもしれませんね」

占い師はため息をついてつづけた。

「あなたの今一番好きな歌は何ですか。
答える必要はありません。
心当たりはあるでしょう。
最近繰り返し聞いている曲です」

Kがその答えに訝しんだが、
心当たりはあるらしく、
はい、と返事を返した。

「ではその歌の最初の一文が、
あなたの恋の結果です」

Kは目を見開いた後、
うつむいた。

俺は内心、
やっぱりな、と思った。

実は俺はAと仲が良く、
Kの後押しのつもりでこっそり聞いたことがある。

AはKに興味がないどころか、
毛嫌いしている事を知っていた。

その後は普通に遊んだが、
Kと二人になったタイミングで、
占い師の言葉についてKに聞いてみた、

「今一番好きな歌ってなんだったの?」

「ラルクの『花葬』」

かける言葉なんて最初からなかったけど、
こればかりは絶句した。

あの占い師本物だったんだ。

その次の週、
一人で占い師のもとに向かったけど、
いなかった。

それからもう15年経つけど、
その占い師を二度と見かけていない。

ま、そんな話。死ぬほど洒落にならない話ではないかもだけど、
箸休め程度に聞いてくれたらうれしいな。

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