旅行に行ったとき、とある旅館に泊まった。

料理もうまくサービスも結構良かったので
ここは当たりだな、と思った。

いい気持ちで部屋のテレビを見ていたが、
ふとビールが飲みたくなって
フロントの横の自販機まで買いに行くことに。

しかし部屋から出ると横に急な階段があり、
階段の下に自販機が見えた。

「あれ?こんなとこに階段あったっけ?
まあフロントまで行かなくてすんでラッキー」

そう思い、階段を下りて自販機でビールを買った。

そこには座敷があり、障子の向こうから話し声がした。

部屋の前で隣のおっさんが、
そのビールはどこで買ったのか、
と尋ねてきたので答えると、彼も階段を下りた。

しかし部屋にはいるやいなや

「うわっ」

ガラガラドシャーン。

落ちた!と思いドアを開ける。

しかし、階段なんてどこにもなかった。

その辺を探してみたが勿論無い。

隣の部屋をノックしたがおっさんはいない。

従業員に聞いても階段なんて無かったという。

無論さっきのことを話しても信じてもらえなさそう・・・

気持ち悪かったが予定通り宿泊して帰った。

隣のおっさんは戻ってこなかった。

数年後、そんなことも忘れてその辺りに引っ越したときに
○○という旅館で改築中に
壁の中から中年男性の白骨死体が発見された、
何故建てられてから20年以上も経つ建物の中から
死後数年の骨が発見されたのか?

壁に掘ったような跡は無かったのに・・・

というような記事を地元の新聞で読んだ。

あの時の旅館の名前は忘れてしまったが、
確かめる勇気が私には無かった。

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