人の思念と言うのは、
時に霊を作る事がある。

今からおよそ20年程前、
当時の友人から

「肝試しに着いてきて欲しい」

と言われて同行する事になった。

その場所と言うのは
山の休憩所なんかにあるボックス型の公衆電話。

そこに向かうまで、
車の中で友人は口々に

「その公衆電話には女の幽霊が出る」

とか

「攫われた女の子が助けを呼ぶのにここの電話を使った」

だの、胡散臭い話をしていた。

現場に着くと、
なんの変哲もない電話ボックスがそこにある。

“なんだよ、霊なんて居やしないじゃないか”

そんな風に思った時

「あ!今電話で女の人が電話かけてない!?」

「うわっ!こっち見てるよね???」

「やだ、手招きしてる」

友人が口々に言い出した。

“まさか!?そんな事ある筈がない”

そうして電話ボックスを見直すと、
何やらウネウネと動き
形を成して行こうとしている。

その“ナニカ”から細い筋が伸び、
つつっ…と友人の足元に繋がっている。

“やばいな…霊を作り出そうとしている!”

そう直感した私は、
両手を擦り合わせた後

「パァンっ!」

と柏手を鳴らす。

友人は驚き此方を振り返る。

「いきなり大きな音立てないでよ、
びっくりするじゃん!」

そう言ってプリプリと怒り出した。

電話ボックスを見ると、
先程の“ナニカ”は掻き消えていた。

「…何もおらんよ、はよ帰ろ」

そう言って友人を急かす。

友人の家に帰宅してから

「居たねぇ…怖かったぁ」

と友人が言うので

「莫迦?あれはアンタの思念だよ。
妙な事考え過ぎると命取られる。
そうなる前に辞めときな」

と諭した。

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