以前、北海道の登別市という温泉で有名な温泉街に、
軽トラで食材を配達する仕事をしていた。

温泉街は山の中にあって、
行くためには駅から真っ直ぐ上がるルートと、
別の所から上がって大きな橋を渡るルート、
まあ他にも道はあるけど、
ワイが通るのは主にそのどちらかだった。

どっちを通っても同じくらいの時間なんだけど、
景色が良いのもあって大抵は大きな橋、
新登別大橋って言うんだけどそこを通るルートを良く通っていた。

秋は紅葉が綺麗だし、
滅多にないけど橋にかぶさるように虹がかかると、
虹の中を通って虹に触れたりして凄い綺麗なんだよ。

橋の側は霧やガスがしょっちゅうかかって前見えないし、
冬は滑るし雪積もるし、
毎日のように鹿はバンバン飛び出すしで、
安全な道とは言えないけど、
まあ慣れたもんで朝と夕方、
一日に二往復くらい走ってたかな。

んで、その橋なんだけど、
絶景が拝める観光スポットであると同時に、
地元では有名な自殺スポットでもあるのよ。

通ると大抵橋の欄干?に花束がいくつもくくってあるし、
警察や消防が路肩に止まってたら、
あーまた誰か跳んだんだなって察するワケ。

ニュースにもならんし
新聞のお悔やみ欄にも載らんけど
毎日のように通ってたから、
結構な頻度で自殺してたんじゃないかな、
欄干の下に靴が置かれてるのも見たしね。

ある日の朝の配達、朝6時くらいなんだけど、
いつものようにうっすら朝霧のかかる橋を渡った時に、
橋の欄干の上に座ってる男の人が見えたんだ。

おいおい勘弁してくれよって思ったんだけど、
その人跳んじゃったんだよね。

俺の顔をしっかり見てから、
座ってるブランコから降りるみたいにさ、
目が合っちゃったよ。

ちなみに橋の上の片側からは海が見えるんだけど、
大抵の人は海の見える方から跳ぶんだよ。

少しでも景色が良い方が良いのかな、
反対側は山と川くらいだしね。

高さがあるからそこで自殺すると遺体は結構損壊するし、
数時間もすればカラスに啄まれたり虫がたかって
酷い有り様らしいね。

だから人が通るまで待つんだと、
見つけてもらうために。

それに、自殺する時でも
一人で誰にも看取られず死ぬのは寂しいのかもしれんね。

こっちにしたらたまったもんじゃないけどね。

下を覗いたけど朝靄が深くて良く見えなくて、
一応通報して仕事に戻ったよ。

次の日警察から電話が来て
一時間くらい話聞かれたけど。

それからかな?

そこを通るのが怖くなっちゃって
駅側のルートを通るようになった。

忘れられないんだよね。

飛び降りる瞬間のあの人の顔が。

無表情な顔が落ちる瞬間
恐怖に怯えたような顔に変わるのが。

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