学生時代、スキー教室で菅平に行った時の話だ。

オレは都会っ子でな。

今までスキーなんかやったことねーし、
そもそも壁みてーな雪自体みたこともなかったよ。

昼前に旅館について、
まず自室に荷物を運んだ。

そのあとは飯だ。

まぁ、そこそこうまかった。

飯を食い終わったら、
そのままゲレンデにバスで直行。

旅館から10分くらいだったかな。

すまねーが名前は忘れちまったよ。

ゲレンデの入り口にゃデカい建物があって、
そこで全員スキー用具を借りるんだ。

装着が終わった班から、
インストラクターについて滑りに行ったよ。

つーか軽度の高所恐怖症だったからかもしらねーが、
リフトってジェットコースターより怖かったぜ。

そのまま日が下がってくる頃まで、
ヒィヒィ言いながらスキーしてた。

それがきっかけでショートスキーとかやるようになったから、
スキー教室って結構教育上重要なのかもしんね。

集合時間が迫ってきたこともあって、
インストラクターから帰りの指示があった。

後に列をなして、
8の字走行でついて来いってやつ。

最初に集まった建物から
ちょっと離れたとこで傾斜は無くなってるから
そこからは担いで歩いた。

そのときなんだけど、
前方の建物の屋根のふちに妙なものが見えたんだ。

当時は今ほど目が悪くなくて、
裸眼で0.6前後だったんだけど、
白い屋根のふちんとこから、
なんか真っ黒いのが飛びでてんの。

近づくにつれて
だんだん造詣がはっきりしてきてな。

建物下につく頃にはなんだか分かったよ。

どうも手みたいなんだよね。

真っ黒い。

同じ班のやつに言ってもみえねーらしく、
馬鹿いってんじゃねーみたいな態度取られたっけ。

生徒が全員集まって、
先生が前でなんか話してるんだけど、
意識と目線はずっとそれに行ってた。

だって明らかに手だし、
微妙に動いてるのも気持ち悪かった。

そしたら突然その手がうねって伸びたと思ったら、
屋根から生えてる氷柱が横にずれるように落下してきて。

「あ~~~~」

って声上ちゃって、
みんな一斉にこっちみたけどそれどころじゃねーし。

氷柱が落ちてきた場所には
ほかの学校の生徒が集まってる最中で、
みんながこっちに注目して時には女の悲鳴が聞こえたよ。

どうも女生徒に当たったんだかで大騒ぎ。

1m近い氷柱がぶつかったんだから
重症だったのかもしれね。

通常ああいうとこの屋根下は
危険だから入れないようになってる。

もちろんその建物もなってたよ。

ただ氷柱が落ちてきたのは
そこから4.5メートル横行ったとこ。

普通はそんな事故起きるはずねーし

そもそも氷柱が縦じゃなく、
根元のほうを頭にして落ちてくるなんてのは
絶対にねーよ。

その子が骨折くらいですんだらしい、
死ななくて良かったよ。

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