そこそこ険しい山を越えるとある県道Aの話。

初めてそこを通ったのは10年以上も前・・・
俺は免許を取ってすぐの下手糞で、おまけに夜だった。

そんな状況だったもんで若干ビビリ入ってて、
それを紛らわすためにカーブごとに振ってある番号を
数えながら走ってたんだ。

峠道を登りながら何の気なしに10と20と数えてたんだけど、
頂上に達して下りはじめた頃妙な事に気づいてしまった。

41番カーブを最後に、
その先のカーブからは番号が振られていない!

次のカーブに振られているのは
『42』という縁起の悪い数字のはず。

カーブを抜けるたびに
「まだ来ない・・・」
「次こそ42かな・・・」
なんて変に意識してしまっていた。

あまりにも『42番カーブ』が現れないものだから、
「うわあ~これはちょっと何かあるんじゃないか?勘弁してよ」
なんて一人ごちたような気がする。

「怪談とかでよくある『普通じゃない場所』に紛れ込んじゃったのか?」
とかね。

その後しばらくの間、
種類もわからない野生動物なんかが横切ったり、
(今なら判る、あれはカモシカだ)
あからさまに事故跡のぐんにゃり大きく歪んだガードレールを見たりで
ビビリ度はうなぎのぼり。

しまいには
「実はもう自分は42番カーブで事故ってるんじゃないか!?」なんて。

・・・と、そんな緊張も呆気なく途切れた。

「43」

おお、番号振ってあるじゃん。

少なくともそこから先は普通の道だ。

しかし緊張がほぐれた時こそ危ないってセオリーは心得てるので、
一層引き締めて峠道を下っていき、
結果的に何事も無く帰宅する事が出来たが・・・

結局のところ42番カーブは何処だったのだろうか。


数ヶ月が過ぎ若葉マークも外れた頃、
どういう経緯かまたも県道Aを通る事になった。

過去の件から遠回りも考えたのだが、
今回は幸いにも昼間のうちに通れそうだったし、
自分なりにあの時の妙な気分を払拭したい気持ちもありルート変更は無し。

10、20、30・・・

数ヶ月前と同じようにカーブを数えながら、
夜中とはまた違った雰囲気の峠道をゆく。

39、40、41・・・

数ヶ月前と同じようにカーブの番号は途切れた。

カモシカが横切った地点を過ぎ、
歪んだガードレールの地点に差し掛かったところで車を停める。

カーブミラーに隠れるように
『それ』は立っていたのだ。

41番側から下っていく目線だと
カーブミラーで完全に隠れてしまい昼間でも確認は困難だ。

『42』

「あ~コレは夜中じゃ気づかんわな」なんて納得し、
続いて歪んだガードレールに注意を向ける。

普通の車じゃ向こう側に落ちていてもおかしくないほどの歪み、
その向こう側を覗くと・・・

岩がむき出しでかなりの落差がある崖。

ガードレールを歪ませた車は
ここから落ちてしまったのだろうか?

だとしたら乗員は・・・

42番カーブの発見で過去のモヤモヤは解消された。

しかし縁起の悪い数字が与えられたカーブで
実際に事故が起きていたという事実に戦慄を覚え、
俺はその場を後にした。


締めくくり。

先月クワガタ採集のポイント探索のために
三度訪れた県道Aで確信した。

俺の住んでる県は3,11の後に多くの峠道が補修されたそうで、
県道Aもそのうちの一つだった。

42番カーブのガードレールは
確かに真新しく眩しいくらいの白だったが・・・・・・

既に大きく歪んでいた。

この場所には、何かがある。

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