俺は子どもの頃は超がつくド田舎に住んでいた
山々に囲まれた閑静な農村地帯だった
その村では一年のうちである月の満月の日の前後一週間は
絶対に山に入ってはいけないという決まりがあった
村の子どもたちには
その期間は山の神様が降りてこられる日だからと聞かされていた
その期間は山の入り口のところにある
道祖神様(俺らは「さえがみさん」って呼んでた)の祠の前で
山から村に入る道に注連縄を張って道祖神様を御祭りしていた
このお祭りの間は子どもだけでなく
大人たちも決して山に踏み入ることは許されなかった
村の子どもたちは物心ついたときから厳しく戒められているのと、
山に入っても楽しい時期でもなかったこともあって
わざわざ叱られるのを覚悟で山に分け入るやつはいなかった
続きを読む