寂れた飲み屋で、
一枚の写真を手に上司が話してくれた。
「お前も知ってるだろうけど、俺は山に行くんだ。
写真を撮りにね。
大学の頃から山はしょっちゅう登ってたから、
技術には自信を持ってたんだけど、
今から15年くらい前かな。
あまりにいい景色だったんで夢中でシャッターを切ってたら、
足を滑らして転げ落ちちゃったんだ。
根が卑しいのかカメラをしっかり持ってたんだけど、
なんとか体を引っ掛けることが出来た。
でも危険な状態だった。
一メートル先は完全な崖だったんだ。
なんとか体はとどめているけど、
いつまた滑り出すか分からない。
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